身長の話題では、よく兄弟間での身長差が焦点になることがあります。あそこの兄弟はどっちも180㎝以上の高身長だ、という話はよく聞かれます。
しかし一方で、お兄ちゃんは背が高いのに弟は背が低い、ということもあります。この話題と性質を同じくしているのが、身長と遺伝の関係です。
身長には遺伝が大きく関わっているから、親が背が高いと兄弟ともに高くなる、というものです。でも、本当にそうなのでしょうか。
身長は遺伝で決まるって本当?
身長には遺伝の要素が深く関係しているとよく言われますよね。確かに、背が高い芸能人やスポーツ選手の親がテレビに出ていると、そのスポーツ選手と同じように背が高いことがあります。
そういう身長が高い親子を見ると、やっぱり身長と遺伝って密接な関係があって、親が背が低いと、自分も背が伸びないだろな~と思ってしまう子がいます。
世の中には、身長差がない兄弟がいる一方で、かなり身長差のある兄弟がいます。本当に遺伝が身長に多大な影響を及ぼして、その確率が100%に近いのであれば、兄弟はみな同じ身長になるはずです。
ですが、実際には兄弟でも身長差が大きくある事例は、とても多いのです。特に、より遺伝的な側面で結びつきの強い一卵性双生児を例にとっても、身長差がある確率も多く存在します。
つまり、兄弟間で全くと言っていいぐらい同じ身長のケースがある一方で、全く身長が違うケースもまた多いということです。
このことから、遺伝と身長は関係がないことはないものの、かといってそれほど深い結びつきがあるわけでもなく、せいぜい25%程度だということなのです。
兄弟に身長差がある理由とは?
身長が違うということは、遺伝の25%以外の影響、つまり残りの75%による影響を受けて、結果が生じていることになります。
この75%の大部分を占めているのが、「睡眠」「運動」「栄養素」という三要素です。
この三要素こそ、最終身長を決するうえで、遺伝よりも大きな影響を及ぼします。確率からいえば、遺伝の3倍も影響力があることになります。
この三要素(生活習慣)に違いがあることによって、兄弟間でも最終身長が変わってくることがあるわけです。
それを理解するためには、成長ホルモンについて知っておく必要があります。
成長ホルモンは、脳の下部に存在する脳下垂体から分泌されます。その名のとおり、子どもの成長を促進するホルモンです。
成長ホルモンは骨端軟骨に作用して、身長を伸ばす役割を担っています。この成長ホルモンが充分に分泌されないと、骨が発達しづらくなり、身長の伸びにも支障をきたします。
つまり、同じ親から生まれた兄弟間でなぜ身長差があるのかといえば、成長ホルモンの分泌量に差がある可能性が高いのです。
そして成長ホルモンの分泌は、「睡眠」「運動」「栄養素」といった生活習慣と密接に関わっています。
兄弟間の身長差をなくす方法
良質な睡眠や適度な運動、充分な栄養素の摂取ができている子どもは、成長ホルモンの分泌が促進されて、背が伸びやすくなります。
この生活習慣の隔たりを兄弟間でなくすことが、身長差をなくすことにつながります。そこで、以下に適切な「睡眠」「運動」「栄養素」について解説していきます。
まずは睡眠について
よく「寝る子は育つ」と言いますよね。これは成長ホルモンの観点からも理に適っています。とりわけ質の高い睡眠は、成長ホルモンが多く分泌されます。
1日のなかでも、最も成長ホルモンが出る時間帯が、この睡眠時です。ただし、単純に横になって目を瞑れば成長ホルモンがたくさん分泌される、というものではありません。
大切なのは「深く眠りに入ること」が重要です。特に眠りに入ってから3時間以内が、最も成長ホルモンが出るゴールデンタイムです。
兄弟の例でいうと、弟は毎日10時には寝るけれど、兄はゲームが大好きで毎日0時を過ぎても起きているとします。すると、弟に兄が身長を越されて、最終身長も弟のほうが10cm以上も大きくなってしまった、などということがありえます。
これは、毎日深く良質な睡眠を摂ったのか、それとも睡眠不足の日々を送っていたのか、という差によって、成長ホルモンの分泌量にも大きな違いが生まれた、という可能性がありえるわけです。
運動について
運動は、基本的に成長ホルモンの分泌を促進するものです。ですから、部活動に所属して毎日運動をしている子どものほうが、帰宅部で運動不足の毎日を送っている子どもよりも、背が伸びる可能性が上がります。
ただし、過剰な運動は逆効果です。あまり負荷の高い運動を継続して行っていると、逆に身長の伸びに障害になります。たとえば、高重量による筋トレが挙げられます。
運動は過度にやりすぎると身長の伸びに悪影響を及ぼしますから、適度な範囲で行うことが大切です。
また、運動の種類によっても、身長の伸びに対する影響は異なります。特に縦方向の動きが多いスポーツは、骨を刺激して身長が伸びやすくなると言われています。
たとえば、バスケットボールやバレーボールのような、ジャンプを頻繁にするスポーツは、骨に良い刺激が加わります。
運動嫌いの子には、代わりにストレッチをするのが良い方法です。ストレッチであれば、いちいち外に出なくても良いですし、運動神経が必要だったり、息を切らして駆け回るといったこともいりませんから、運動嫌いの子でもストレスなく取り組むことができます。
親も一緒に子どもとストレッチをすることで、より子どもがストレッチをするハードルが下がり、楽しく実践できます。親自身の運動不足解消にもなるので一石二鳥です!