思春期と聞いてどんなことを連想しますか？
「成長期」「多感な年ごろ」といった中学生や高校生の子供をイメージするかもしれません。自分の子供がいつ思春期に入るのか気になることもあると思います。
では実際に思春期とは子供の心身にどのような変化が、どの時期に起こることをいうのでしょう。
また、思春期がくる時期によって身長の伸び率に変化を与えることが分かっています。思春期の時期と成長の関係性に関しましてもあわせてご説明いたします。
思春期の時期と内容
思春期がはじまる時期は男の子と女の子で異なります。
男の子は小学校高学年前後、女の子は小学校中学年前後が思春期のはじまる時期とされています。具体的な数字だと男の子は11歳頃、女の子は10歳頃が思春期のはじまる時期の平均年齢です。
ただし、遺伝などの影響によって思春期のはじまる時期は人それぞれ異なるので決めつけることはできません。
思春期でみられる変化も男の子と女の子で異なります。
男の子はヒゲが生えてきたり、精通が発生したりし、女の子は乳房が少し膨らみはじめ、初潮が発生します。
女の子の初潮の発生や男の子の声変わりが思春期のはじまりと思っている方も少なくないと思いますが、むしろそれらの身体の変化は思春期の後期にあたるものです。
男の子だと精巣の増大、女の子だと乳房の発達などが思春期初期の身体の変化です。さらに思春期には心理的な変化もあります。
自分の身体の急激な変化に戸惑ったり、自分を客観的に見る能力が発達するため親や教師に対しても批判的な目を持ちはじめたりします。また、新しい価値観を積極的に吸収していったり、異性に興味を持ったりと自分の世界を広げていく時期でもあるのです。
思春期と身体の成長の関係
思春期には、身体がさまざまに変化していきます。
その身体の変化のなかでも顕著に現れるのが、身長の増進です。個人差はありますが、身長の伸び幅もそれまで月に4～5mmずつ伸びていた身長が7mmほど伸びるようになります。成長のスピードが速いと1年間に10cm以上伸びることも。
そしてこのことはあまり知られていない事実かもしれませんが、実は思春期の間に伸びる身長はおおよそ決まっています。
もちろん思春期時の身長の伸び率も個人差があり一概にはいえませんが、男の子はおよそ25cm、女の子はおよそ22cm身長が伸びるといわれています。
思春期が終了すると身長の伸びが緩やかになるケースが多いので、思春期に入った時の身長に男の子なら25cm、女の子なら22cmを足せばその子供の最終的な身長がおおよそ推察できます。
思春期がはじまる前の身長が低いと最終的な身長も低くなってしまうケースが多いです。
小学生のころは女の子の方が男の子より身長が高かったけれど、中学生、高校生になると男女で身長が逆転することがあります。これは男女で思春期に入る時期の差異と思春期時の成長差があることが一因となっています。
思春期が早く到来する原因
思春期が何を原因にはじまるのか、実際のところはっきりとしたことは分かっていません。
しかし、身体の成長が不十分なまま思春期が早くきてしまう原因はいくつかあります。以下に二つの原因を挙げます。
思春期早発症
脳から卵巣や精巣に命令を送る視床下部・下垂体という場所が早めに動いてしまうために、思春期の特徴が早い年齢のうちから身体に出るのが「思春期早発症」です。
その症状は、男の子は9歳までに精巣が発達していく、10歳までに陰毛が生える。女の子は7歳半よりも前に乳房が発達してくる、8歳までに陰毛、わき毛が生えてくるなどがあります。
女の子の思春期早発症は特に珍しくありませんが、男の子の発症は珍しいもので、脳に腫瘍などが認められるかもしれないケースも考えられるので、早期の診察と治療が必要です。
また、病院などで思春期の進行を遅らせる治療も受けることができます。子供のあまりに早い成長におかしいと感じたら、子供に適切な診療を受けさせることが大事になります。
栄養の偏り
思春期がくるまえに偏った食事をとり続けると、思春期が早くなる恐れがあります。
過剰なカロリー摂取で思春期の前に肥満体になった子供は思春期のはじまりが早くなるかもしれません。この場合、思春期に入る前の身体は大きくても思春期終了時の身長がほかの人より低くなるケースもあるのです。
子供の身体の成長には、バランスの良い食事、質の良い睡眠、適度な運動が必要になります。思春期がくる前はもちろん思春期がきた後も、しっかりとした生活習慣を子供に送らせることが大切です。
思春期の子供の成長に大切なもの
そもそも思春期の到来は個人差があるもので、思春期がほかの子供より多少早くても決して悪いことではありません。
しかし、子供の身長が十分伸びていないなかで思春期がはじまると身長の伸びに限界が生じることもあります。
思春期の子供はまわりのみんなと比べて、自分だけ成長が早かったり遅かったりすると「自分はどこかおかしいのだろうか」と戸惑ってしまいストレスを抱え込みかねません。
思春期の子供はどんどん成長していく一方で、心身ともに不安定になりやすい時期でもあります。
思春期の子供の健康な成長を後押しするためにも、思春期と成長の関係を知っておくことはとても大事になってくるのです。
