前回、前々回で成長のためには「睡眠」「運動」が大切とお話しましたが、今回は食事についてです。食事(栄養素)の違いは身長や体格だけでなく、性格にも影響を及ぼす場合があります。
栄養素の成長における影響について
栄養素も、成長ホルモンと大きな関わりを持っています。たとえば、アミノ酸の一種であるアルギニンなどは、成長ホルモンの分泌を促進する働きを持っていると言われています。
また、成長ホルモンの側面だけではなくて、栄養素は骨の成長には欠かせないものです。たとえば、カルシウムやコラーゲンといった成分は骨の材料となるものです。
こういった栄養素が不足していては、骨の材料が足らないわけですから、骨が成長して背が伸びるのは難しくなるのです。
兄弟間でも好き嫌いに違いあるというのはよくある話です。たとえば、弟は鶏肉が大好きだけど、兄は嫌いであまり肉は食べないということがあったとします。
鶏肉には、特に胸などの部位には多くのたんぱく質が含まれています。たんぱく質は先のアミノ酸の一種であるアルギニンが含まれているなど、骨の成長には欠かせない栄養素です。
成長期における栄養素の不足は、最終身長にも影響を与えます。栄養素の摂取に兄弟間で違いがある場合には、後に身長に差が出てくる可能性が高くなります。
これを参考に、普段の食生活を整えていきましょう♪
身長を伸ばすのに必要な栄養素
カルシウム
多くの人が「身長を伸ばしたいならカルシウムを摂りなさい」と言われて育ってきていると思います。
しかし、骨を丈夫にする、強くたくましく成長していくためには「必須の栄養素」と言えます。
また、カルシウムは単独で摂っても吸収率が悪いので、マグネシウムと一緒に摂ることをおすすめします。一緒に摂ることによって、吸収率がアップして骨に定着しやすくなります。
マグネシウムが不足していると、骨に吸収されなかったカルシウムが血中を漂い、健康を害する恐れがあります。カルシウムばかりを摂っていてはダメで、マグネシウムとセットで摂ることを心がけましょう。
マグネシウムは何によく含まれているかというと、昆布や海苔、ひじきといった海藻類です。他に、ゴマやアーモンドなどのナッツ類にもたくさん含有されています。
昔は和食中心の生活が送られていましたから、海藻類やゴマといった食材からマグネシウムは不足なく取り入れられていました。
しかし、今では食の欧米化が進んでおりマグネシウムを意識して摂らないと不足しがちな傾向にあります。
マグネシウムはカルシウムの吸収率をアップするだけではなくて、緊張を和らげる働きも持っています。ストレスを溜めがちな現代の子どもたちの緊張を和らげて、リラックスして良質な睡眠を取るためにも必要な栄養素です。
身長の伸びに悪影響を与える栄養素に注意!
マグネシウムはカルシウムの吸収に寄与するため、積極的に摂りたい成分でした。一方で、できるだけ避けたい栄養素があります。
それは、リン酸です。
育ち盛りの子どもには、なるべく摂らせたくない成分です。このリン酸は、いわゆる食品添加物として使われていることが多いです。
そのため、子どもが大好きなスナック菓子や、カップラーメンなどのインスタント食品、甘いジュースなどに含まれています。
こういった食品を全て禁止してしまうと、子どもにストレスが溜まってしまって逆効果です。
あくまで過剰摂取を避けるというスタンスで「お菓子やジュースの量を調整したり、インスタント食品ばかり食べさせるのをやめる」といったことを実践していきましょう。
たんぱく質
前述したように、たんぱく質は骨の成長に欠かせない重要な栄養素です。たんぱく質は「魚や豆類、お肉」に多く含まれています。
動物性たんぱく質の過剰摂取に注意!
肉類にはたんぱく質とともに、飽和脂肪酸が多いという特徴があります。飽和脂肪酸は、過剰に摂取すると肥満の原因となってしまいます。肥満は、身長の伸びに悪影響を与えます。ですので、たんぱく質は肉からばかり摂るのではなくて、魚や豆類と上手に組み合わせて摂取することが重要です。
ビタミンD
これまで紹介してきたように、骨を丈夫にして成長させるために重要な栄養素は、カルシウムやマグネシウム、たんぱく質です。
他に効果的な成分として、ビタミンDがあります。ビタミンDは、カルシウムの吸収率を上げる働きを持っています。また、カルシウムが体外に排出されるのを防ぐ作用や、骨端軟骨の代謝バランスを調整する役割も担っています。
魚にはビタミンDやオメガ3系も!
ビタミンDは、特に青魚やきのこ類などに多く含まれています。魚の良いところは、ビタミンDだけではなくて、たんぱく質も豊富に含まれている点です。
さらに、お肉の脂は肥満の原因になりがちな不飽和脂肪酸が大半であるのに対して、魚の油はオメガ3系と呼ばれる脂がほとんどです。このオメガ3系は、血中の悪玉コレステロールを減らして、善玉コレステロールを増やす良い働きを持っています。
又、オメガ3系には、頭や目に良いとされているDHAや、血液の質を高めるEPAも入っています。
ビタミンDは太陽光により体内で合成される
実はビタミンDは、摂取するだけではなくて、太陽の光を浴びると体内で生成されるのです。皮下脂肪に存在するプロビタミンDが、紫外線に反応してビタミンD3に変化するためです。
そのため、太陽の光の下での運動は、子どもにとって大切になってきます。太陽光の下といっても、必ずしも直射日光でなければならないということはありません。
特に夏場などは炎天下での運動を熱中症などの心配から、避けたいという親御さんも多くいると思います。こういったときは、日陰での運動でも充分にビタミンDの生成は可能ですから、そのようにして運動させるのが良いでしょう。