子どもの背が低い親は、何か病気で背が伸びないのではないか?と心配されることがあります。
子どもの友達はすくすくと背が伸びているのに、自分の子どもだけちょっとしか背が伸びてくれないとなると、焦りのようなものを感じてしまうことも。
多くの場合、成長が遅れているだけで病気ということはありません。しかし低身長症のような疾患によって、背が伸びないという子供もいます。
低身長症なのかを調べる方法
自分の子どもの背の伸び方が正常の範囲なのか、それとも病気の範囲なのかを知る方法に、成長曲線を見るというものがあります。
成長曲線には、SDスコアというものがあります。このSDスコアによって同年代の子どもとどれくらい差があるのか、というのを知ることが可能です。
SDスコアを知るために便利なサイトがあるのでご紹介します。※ファイザー製薬低身長チェックツール
-2SDまでであれば、それは低身長症には該当しないレベルです。その場合には、睡眠、運動、食事といった3つのポイントを意識して改善していくことで、いずれ背が伸びてくれるはずです。
しかし、伸びるといっても平均身長に少しでも近づくという意味で、対策しなければ理想の身長に近づける事は至難の業です。
-2SD以下となってくると、低身長症と判断されるリスクがあります。疾患による低身長症といっても、それには種類があります。以下で代表的なものをみていきましょう。
低身長症の種類
1.成長ホルモン分泌不全性低身長症
成長ホルモン分泌不全性低身長症は、成長ホルモンの分泌量に問題があって、背が伸びないものです。背が伸びるためには、成長ホルモンの分泌が不可欠です。
この分泌量に問題があると、思ったように背が伸びないことになります。成長ホルモンの分泌が正常値でない原因には、様々なものがあります。
遺伝の場合もありますし、事故など外的な要因の場合もあります。もしもこの、成長ホルモン分泌不全性低身長症だと診断された場合には成長ホルモンを投与する注射や、分泌を促す投薬治療などがなされます。
2.甲状腺機能低下症
成長ホルモンとは別に、甲状腺ホルモンがあります。こちらも、骨の成長を促して背を伸ばす働きを持つホルモンです。この甲状腺ホルモンは喉元にある甲状腺から分泌されます。
甲状腺機能低下症は、この甲状腺ホルモンの分泌量が低下するものです。甲状腺ホルモンの分泌量が下がった場合には、やはり低身長症を引き起こす可能性が高くなります。
甲状腺機能低下症となる原因もまた様々あります。遺伝によることもあれば、甲状腺炎からくる場合もあります。
3.SGA性低身長症
SGAとは「Small for Gestational Age」の略です。つまり、子宮内発育不全を指しています。子宮内で充分な成長ができないまま出産に至った場合起こります。
この場合、出生時には他の胎児に比べて明らかに低身長な状態です。しかし、SGA性低身長症では多くの場合3歳ごろまでに身長は平均値に達します。
その後は普通に背が伸びていくわけです。ただし、まれに出生後の低身長を引きずって、平均値に届かない状態が大人になっても続くケースがあります。
4.染色体異常による低身長症
染色体異常によって、背が伸びないこともあります。これは完全に先天性の症状です。染色体異常にも種類があって、たとえば女子にのみ発症する「ターナー症候群」があります。
この発症率は、2000人に1人の割合です。性別を問わず発症するものには「プラダー・ウィリー症候群」があります。こちらの発症率は、10000人に1人の割合です。
5.軟骨異常による低身長症
背が伸びるときには、硬い骨にくっついている骨端軟骨と呼ばれる柔らかい骨が増殖して、やがて硬い骨に形成されていきます。
こういった軟骨の増殖が、背が伸びるメカニズムとなっています。軟骨に異常があると増殖できず、硬い骨に形成されません。低身長症の原因となるわけです。軟骨に異常がある場合は、「軟骨無形症」「軟骨低形成症」といった疾患が考えられます。
低身長症まとめ
-2SDを超えてくるような成長過程の場合は、病院にて診察をおすすめしますが、2SD以内のお子さんは生活環境の改善や成長サプリメントの活用などで、平均身長もしくはそれ以上を目指していく事が可能です。
身長はできるだけ早い時期から、親が知識を得て対策してあげることが大切です。高校卒業してからスタートするのと、小学生からスタートするのでは、その子の生涯身長に大きな差が出てきます。