「成長痛がなければ背が伸びない」といわれることがあります。成長通というのは、特に小学生などの成長期にある子どもが、寝ているときなどに痛みを感じるものです。
多くは、下半身に痛みが生じます。膝や足の甲に重点的に痛みがある、と訴える子どもも大勢います。このような成長痛は、骨の著しい成長に、周りの筋肉がついていくことができず、そこで軋轢が生じて痛みにつながる、というように考えられています。
このことから、「成長痛=背の伸び」ということで、むしろ歓迎すべきものだという風潮があるわけです。逆に成長痛を覚えない子どもである場合、背が伸びないのではないかと不安に思う親も多くなっているようです。
成長痛には2種類ある
成長痛とひとえにいっても、それには大きく分けて2つの種類があります。
それは、幼児期や小学校低学年の頃に感じるものと、小学校高学年になってから生じるものです。それこそ、まだ年齢が一桁のときのもの、十代になってからのもの、というふうに分けることができます。
幼児期から小学校低学年の成長痛
幼児期から小学校低学年にかけては、1年で平均5cm程度背が伸びます。しかし、この時期はまだ骨の周りの筋肉を始めとする組織が柔らかく、骨の成長についていけず周りの組織が痛みを発する、成長痛は発生しないことになっています。
それでも、成長痛のような下半身に関する痛みを訴える幼児期の子どもは多いのです。
この原因の1つは、ストレスがあるのではないか、といわれています。この時期は、幼稚園への入園、小学校への入学など、めまぐるしい環境の変化が起こるタイミングです。
そんななかで、子どもながらにして大きなストレスを抱えてしまうケースがあるわけです。こういったストレスが原因で、溜まった疲れが痛みとなって夜、寝るときに現れるといったことが起こります。
こういった痛みを訴えた場合には、親は「やったー! うちの子は将来、長身のイケメンになるわ!」と喜ぶのではなくて、脚をなでてあげるなどして、子どものストレスを緩和させてあげることが大事です。
小学校高学年の成長痛
次に、10代の子ども、小学校高学年に起こる成長痛についてです。成長痛は、膝に発症することが極めて多いです。しかし、膝に痛みを感じるからといって、それで即座に成長痛ということにはなりません。
その代表的なものに、「オスグット病」というものがあります。これは、筆者も小学校5、6年生あたりに実際に体験したものです。
どういったものかというと、膝のお皿と、その少し下にある頚骨をつなぐ筋肉や腱が伸縮することによって起こります。膝を曲げ伸ばしすると、腱が頚骨を引っ張ります。
大人の場合、骨が硬くなっているために影響を受けることはありません。しかし、10代の子供はまだ骨が柔らかいために、腱に何度も引っ張られると、だんだんと頚骨が前面へ押し出されていきます。
ひどいときは、そのまま軟骨が剥離してしまうことも。このオスグット病は、頚骨が出っ張った膝の部分を押すと、痛みがはしるという特徴があります。ジャンプをしたり、膝の屈伸をするたびに痛みが生じることも。
オスグット病は、サッカークラブや野球チームに所属したりして、運動を活発に行っている子どもに発症しやすいです。
10代の子どもの場合、もちろんオスグット病などではなくて、純粋に成長痛を発生することもあります。こういった場合には、痛みを感じる部位のストレッチをして、筋肉をほぐしてあげることが有効です。
ただし、成長痛がないからといって、背が伸びないということは全くありません。成長痛は、成長する骨の周りの筋肉が硬くなって圧迫することが原因だからです。
たとえば、ストレッチをしたりして、筋肉が柔らかくなっていれば、成長痛はないわけです。成長痛がなくても、背がぐんぐん伸びることは充分にありえます。
どうしても気になる時は、専門医や整形外科で受診して下さい。理由がハッキリすることにより、子供の不安が和らぎます。
成長痛がある、ない、に関わらず、幼少期から中学生ぐらいまでは、子供の成長にとって非常に大切な時期です。栄養面に気を配ってあげたり、生活環境を整えてあげることにより子供の成長度合いは変わります。