親が子に注ぐ「愛情」これが足りていないと、子どもが低身長になるという話がよくされるようになってきました。これは、正式には愛情遮断症候群と呼ばれるものです。
愛情遮断症候群になるケース
子どもに対する親の愛情が欠落している場合、子どもが低身長になってしまうケースがあります。
以下のような状況で「愛情遮断症候群」になりやすいと言われています。
- 父親か母親の片方、もしくは双方が死別などにより不在
- 親の精神状態が不安定で、子どもがおびえている
- 親の精神状態に関連して、虐待が行われている
- 両親がいつも怒鳴ったりして喧嘩ばかりしている
愛情遮断症候群になっている子どもの症状
愛情遮断症候群を発症している子どもの特徴としては、
- 笑顔が少ない
- すぐに怒る
- 人と目を合わせてしゃべらない
- 動きがスロー
- 精神の発達が遅れている
- 睡眠障害
- 親との身体的接触を拒絶する
こういった特徴があります。
愛情遮断症候群によって低身長となる理由
愛情遮断症候群になると、低身長になるケースが多いことはお話ししましたが、その原因の1つとして「ストレス」が考えられます。極度のストレスが、成長を遅らせるというものです。
他には、親がちゃんとした食事を作らないという物理的な要因もあります。満足のいく食事を摂れないために、慢性的に栄養不足となっていて、成長が阻害されるというものです。
さらに愛情遮断症候群の症状である睡眠障害は、低身長と密接な関係があります。身長が伸びるためには、脳から分泌される成長ホルモンが重要です。この成長ホルモンが充分に分泌されないと、背が伸びていきません。
成長ホルモンが1日のうちで最も分泌されるのが、睡眠時です。それもぐっすりと深い眠りに落ちたときに、成長ホルモンが多く分泌されるのです。
「寝る子は育つ」とよくいわれますが、これは、成長ホルモンの分泌のことをいっているのです。
睡眠障害となると、眠りにつけなかったり、眠れてもとても浅い状態となってしまうために、成長ホルモンが充分に分泌されません。これによって、低身長となってしまうリスクが高まります。
愛情遮断症候群を改善する方法
愛情遮断症候群の子どもが、保健施設に預けられたり、入院をしたりすると、その期間だけ顕著に身長が伸びるということがあります。
これは、やはり親から受けるストレスが一時的にでもなくなって、精神的にリラックスした状態になるためだと考えられています。こういった子ども達が、一定期間治療やリハビリを受けて、自宅に戻ると、また背の伸びが止まってしまう、ということもよくある話です。
それまでの親子関係が継続されたままでは、根源的なストレスを受ける状況になんら変わりはないわけですから、一時的に避難をすることはできても、親の元に戻ればまたすぐに再発してしまうわけです。
子どもをどうにかするというよりは、親がその在り方を見つめ直すほうが、愛情遮断症候群を改善するためには大切なのです。
まずは病院で診てもらう
こういった精神的な病気には、専門医のカウンセリングを受けるのが効果的です。特に子どもを診てもらうというよりは、両親も揃ってカウンセリングを受けるのが良いでしょう。
それが現在の親子関係を見つめ直す良い機会になれば、愛情遮断症候群の根源である子どもへのストレスの原因を駆逐することにもつながります。
子どもが低身長で悩んでいるときに愛情遮断症候群の話を聞くと、愛情が足りてないのでは?と心配される親御さんがいらっしゃいます。
しかし、愛情遮断症候群は、あくまで低身長となる原因の1つに過ぎません。他にも、成長ホルモンの分泌が不足する病気や、骨や内臓の異常など、低身長を引き起こす要因は様々です。
低身長だけれど、その原因が分からないし色々な可能性がある、というのが一般的なケースでしょう。